文字通り、狭義の意味では、家族だけで行う葬儀の意味ですが、最近では拡大解釈されて、家族のみならず、親族や友人・知人、お勤め先の関係者なども含めたご葬儀を家族葬というケースや、安価に、簡単に、新聞に出さなければ全て家族葬というケースもあり、たとえ新聞に家族葬とうたいながら、全ての会葬を受け入れる場合もあります。
とちそうでは、混乱をおこさないように、家族葬の定義を次のように設定しています。
「家族葬」は、家族や親族など、初めから限られた方々だけで行う葬儀のことで、おおよそ約20名以内の人数で行う葬儀としています。つまり、不特定の一般会葬者がいない葬儀になり、一般の方にはお葬儀に参加したり、お供物やお香典を出したりということを極力ご遠慮いただくことになります。新聞に出す場合は、「近親者にてとりおこないます。」と入れることになります。
家族葬は、故人と親しかった人たちが、ゆったりとお別れの時間を過ごし、「温かく見送る、愛の溢れたお葬式をしたい」という理由から選ばれることが多くいらっしゃいました。しかし元々の意味とは違い、「簡単に、安価に遺体の処理をする」という誤った認識をされている方も多々いらっしゃいます。本来、いかなる人であっても、尊厳をもって葬られる権利があります。
「家族葬」を行って後悔された人たちの理由としては、故人と親しくしていた人や、お世話になった人たちに連絡がいかなかったため、その人たちが後に問い合わせや弔問が相次いでしまい大変だったということ、結果的に亡くなったことを隠すような形になってしまい、精神的な区切りも充分につけられないということです。これらのことを考えて、「家族葬」を行う場合でも、悔いのないように行っていただきたいと思います。
(全日本仏教会)